(その1)活動の歴史
学術拡散倶楽部では、活動の単位を<ユニット>と読んでいます。普通にいわれるところのサークルとほぼ同じことなのですが、学散の場合、倶楽部員は<原則として複数かけ持ちで参加>になりますので、このように呼んでみただけです。
このユニットは、呼びかけ人の「やろう」という意志とそれに共感する複数名の参加者とで成立します。原則として不可な企画はありませんが、半年に一回ある<学散総会>にてその当否が決められます。
ユニットを分類すれば、大きく(A)学術系・(B)芸術系・(C)出版系・(D)見聞系・(E)イベント系・(F)その他、となります。
ややもするとお堅いイメージがつきまといがちな学散ですが、(F)なんかをみるとビックリドッキリ集団という気にもなってきます。
-目次-
(A)学術系
①座談会形式
②討論会形式
③学習会形式
④研究会形式
(B)芸術系
①鑑賞形式
②実践形式
(C)出版系
(D)見聞系
(E)イベント系
(F)その他
(A)学術系
学術系には4つのタイプがあります。発表者と参加者が対等であるかそうでないか、知識と思索のいずれを重視するか、これで以下のような四つに分かれます。
①(対等関係-知識交換) これを「座談会形式」と呼びます
②(対等関係-思索錬成) これを「討論会形式」と呼びます
③(非対等関係-知識交換)これを「学習会形式」と呼びます
④(非対等関係-思索錬成)これを「研究会形式」と呼びます
この分類は企画をうつときのコンセプト(何をしたいのか)づくりに役立ちます。
①座談会形式
座談会形式とは、何の予習もなく自由に参加した者同士が、情報交換をしたり、お互いに質疑を交わし合う形ですすめられる活動です。
★宗教座談会(計2回/内尾=滋賀)
特定の宗教団体に属している人や特定の宗教を信仰している宗教家に何人かずつ集まってもらい、これに一般参加者を含めて話し合いをするというユニットです。社会でタブー視されがちな事を、広い視野で柔軟に考えることができるようにすること、これがこのユニットの目的でした(以後、この目的で政治座談会もする予定であった)。
しかしこのような形式で宗教家に来てもらうというのは予想以上に難しく、開催は難航を極めました。
-参加宗教家-
第一回 カトリック系キリスト教・創価学会・真宗大谷派
第二回 キリスト教改革派・ワールドメイト
他にも
文芸カフェ(続行中/内尾=滋賀)
政治クリニック(続行中/内尾=滋賀)
京都エリア座談会(続行中/岩崎=京都)
②討論会形式
討論会形式は、座談会と異なって<言い合い>が活動の中心となりますが、ディベートとも異なって勝敗を問題とせず、参加者全員による真摯な即興討論が課題となります。
★月例討論会 (計23回/稲村・八幡など=関西圏)
1993年10月、学散はこの活動を母体として活動を開始しました。テーマを事前に設定しておき(主に社会問題)、テーマに関する簡単な説明の後、司会者の采配にまかせながら自由に討論するというもので、<朝まで生テレビ>みたいなノリです。各テーマごとに異様な盛り上がりを見せ、時には怒号や罵声まで飛び交うこともありました。
2年あまり、神戸・大阪・京都を巡回しながら毎月開かれた討論会でしたが、所詮限られた時間の中では、内容の消化不良は否めませんでした。
-思い出深い論点-
「買春はマクドナルドの店員と同じような労働として成立するか」(性の商品化)
「死刑は、受刑者が選べる刑の選択肢の一つとして残すべきである」(死刑について)
「中絶をしなくていいように、国は強力な養育施設を作るべき」(妊娠中絶の是非)
「刑罰は効率的に科すべきか、合法的に科すべきか」(少年法を考える)
「盗撮ビデオは例外として、あとは何でもありである」(アダルトビデオを考える)
などなど
★インタームーブ(計2回/関=関西圏)
これは他団体との対決形式という異色の討論会でした。団体同士の相互批判からお互いの強みや限界を学び会おうという目的でしたが、当初からいわれていたとおり、相手を見つけることは非常に難しく、結局二回のみで消滅しました。
-対戦相手-
第一回 幸福の科学
第二回 幸福会やまぎし会(やまぎしの村まで遠征する)
他にも
拡散電子網 (計6回/稲村→松村=パソ通内)
オータム討論会(計1回/伊藤・藤本=大阪南)
トリックストーン(計2回/内尾=京都)
なにわ激論会(続行中/雪本=大阪)
京都エリア討論会(続行中/岩崎=京都)
琵琶湖エリア討論会(続行中/内尾=滋賀)
③学習会形式
学習会形式は、①や②とは異なり、その場での知識の習得を最大目的とします。このような形式は、例えば高校や大学での授業や講義のように、「教える人」と「聞く人」に分かれがちです。しかし、学散ではこのような固定的な関係をできるだけ排除しながら学習会を行っています。
★哲学入門の会 (計13回/高橋→谷本→関=京都)
みんなでテキストを一冊決め、数人で数章ずつ分担して解説するという現行の学習会<知の探検隊>の先駆にあたるユニットです。このような形式ですから、参加者の大半は教える人を担うことになります。
このユニットの場合、哲学の入門書に特化していたところに特徴がありました。発起人は当時同志社大3回生の高橋さん。哲学というよりは宗教関係の本を読みたがっていたようでしたが、長期インド旅行を期に主宰を降りられました。
-取り扱ったテキスト-
はじめての構造主義 橋爪大三郎 講談社現代新書
ハイデッガーの思想 木田元 岩波新書
資本論の世界 内田義彦 岩波新書
言葉のアバンギャルド 塚原史 講談社現代新書
二十世紀言語学入門 加賀野井秀一 講談社現代新書
フーコー入門 中山 元 ちくま新書
子供のための哲学 永井 均 講談社現代新書
など多数
★心理学入門の会(計4回/横山=大阪北)
心理学に特化した学習会です。発起人は当時関大3回生の横山氏。全回、横山氏が講義しました。今ではちょっと恐ろしいのですが、関西大学構内でゲリラ的に開かれていた学習会でした。最終的には場所が遠い上に確保ができないので参加人数が減少し、終了しました。
-内容-
第一回 経営心理学
第二回 性格心理学
第三回 社会心理学
第四回 認知心理学
★社会哲学研究会(計9回/関=京都)
これは「大学院生レベルの勉強会」をうたい文句にして創られたユニット。全発表は当時公務員であった関氏によって行われました。発表は複数の本を総まとめして持論を少し付け加える形。従って、分量的にも相当なもので、また、参加者にも予めテキストを一冊程度読んでくることが要請されていました。従って、その活動は濃厚で、休憩を挟んでみっちり5時間程の活動となりました。
活動から1年が経過する頃、参加者の固定化が始まり、また発表者の関氏も毎月のヘビーな発表にいささか疲れ果ててしまい、消滅してしまいました。
-内容-
第一回 法的思考でどこまで可能か 法哲学が中心
第二回 自己組織性で社会は語られうるか 理論社会学
第三回 資本主義からの脱出は可能か 文化経済学
第四回 表現の自由を切り拓くということ 憲法学が中心
第五回 果たして都市は権力的か 都市社会学
第六回 裁判という思考 法社会学が中心
第七回 破壊的言動は表現の自由にはいるか 米憲法学
第八回 応用倫理学の可能性 倫理学が中心
第九回 果たしてアナーキズムは有効か 政治思想が中心
他
・鮎合勉強会 (計4回/鮎合=大阪北)
・KKK団連 (計2回/三原=神戸)
・丸山真男研究会(計6回/松村=神戸)
・古典的パンフレットを読む会(計3回/藤室=神戸)
・学楽道場 (計2回/関 =大阪南)
・マンハイム「イデオロギーとユートピア」を読む(計1回/春山=京都)
・知の探検隊 (続行中/松山→来間→内尾→岩崎=京都)
・English Class(続行中/雪本=京都)
・ハイパー勉強会(続行中/関=京都)
④研究会形式
研究会形式は、①~③とはちょっと異なり、参加者にも予備知識があることを前提にして、ちょっと高度で創造的な活動をおこないます。
★学散ワークスタジオ (10回/矢野=京都)
<発表者 対 全参加者>という図式のもとに遠慮呵責ない批判が行われ、別名「知のアルティメット」と呼ばれた研究会でした。会報の予告には「全ての学散者よ。これに対峙せよ」と書かれ、参加者はとにかく発表者を批判し、打ち負かすことだけを目的とし、発表者はこれに耐えた場合には、自らの学問的偉業を誇れるという、批判に耐えきれなかった場合には批判を糧として作品を練り直すという、そんなノリの研究会でした。
当時はその意気込みもすさまじく、学術拡散倶楽部は約一年間、この企画に全力を投入して活動していましたが、会員数の激減とそれに伴う発表者の不足に悩まされ、1年後の総会で、この路線は修正をやむなくされました。
この学散ワークスタジオは、その性質を変えながら、現在「学散ワークショップ」として存続しています。
-内容-
第一回 1)意志決定に関わる問題についての一考察(鍵原)
2)バーチャルヒューマンによる仮想実験は実証作業になりうるか(関)
第二回 1)司法改革の経済学(雪本)
2)企業家精神の現代的展開(西原)
第三回 1)かわいらしさと自己(圓田)
2)国家を作る権利の法的可能性(関)
第四回 1)空とニヒリズム(水野)
2)不完全定理の適用範囲(関)
第五回 1)近代文学における表現の問題(大西)
2)韓国における価値観の変化について(李)
第六回 1)論理的の構造(関)
2)少年法を考える
第七回 1)実存からの社会科学研究の可能性の探索(大野)
2)地価形成の経済学分析についての予備考察(西原)
第八回 1)もめ事は話し合いで解決するか(関)
2)戦後文学における戦争責任と後背湿地(内尾)
第九回 論文検討「コーディネーション問題としての経済発展」(矢野)
第十回 複雑系経済学入門(雪本)
その他
アイボリータワー(3回/関→矢野=京都・大阪)
学散寺子屋(続行中/関=各地)
学散ワークショップ (続行中/矢野=京都)
(B)芸術系
①鑑賞形式
★青年批評家同盟(計6回/藤室→横山→N氏=各地)
映画や演劇、絵画は観て楽しむだけでなく、その後にみんなで感想を語り合い、芸術の様々な見方や感じ方を理解し合うことこそが重要だ、というコンセプトの下、劇場に行ったり、美術館に行ったり、個人宅でビデオ鑑賞をしたりしました。作品としてはかなり猟奇的なものもありましたし、女性数名を交えてのAV鑑賞もやりました。
②実践形式
★BEX(続行中/H女史・今村・関→谷本→関=大阪北・京都)
その活動は長期に渡って断続的に続き、今や学散の伝統の一つともいわれます。①日常空間の異化、②社会的寛容度の向上、③自己の限界への挑戦というコンセプトとともに自己満足の否定、ウチワの盛り上がりの拒否も併せて掲げます。
実験を客観的に観察する「BEX観察者」をこっそりおいて、電車内、待ち合わせ場所、エレベーター、歩道橋などなど、公衆の面前で突如活動は始まります。
下記の実験結果については、学散のBEX隊員まで。
-実験例-
①やらせケンカ ~ガチャピン・ムック版~(梅田駅発・阪急電車内)
観察者とアベック二組に分かれ、素知らぬ顔で電車に乗り込む。アベックの一方は熱烈なガチャピンファン、もう一方は熱烈なムックファンである。発車後しばらくして、ムックファンアベックが、ムックを褒め称えると共にガチャピンを非難する。それを聞いた熱烈なガチャピンファンが「ガチャピンの悪口を言うな」などと言ってくるのがケンカの始まり。そのまま「ガチャピンはカメやないか」「ムックなんかバケモンや」などとののしり、わめき、大声でお互いを罵倒しあう。女性は半分笑いながら「やめなさいって」などと言い続ける。その内につかみ合いとなり、軽い殴り合いとなり、次の駅でもみ合いながら降りる。
その他 「巨人阪神版」「ハリセン版」あり
②不可解会話 ~外国語モドキ語会話版~(主として阪急電車)
混雑した電車内で複数人がやや大げさな身振りを交えながら以下のような会話を行う。
A「ケモスチェノ ニゲンノカマンマシガ」
(建物を指さしながら)
B「あ ああ そていげ けいそで」
(あごをはげしくふっている)
C「タリューシカバリイーゲンも」
(みんなで一斉に気色悪く笑う)
その他 四重翻訳版・でたらめガイド版・ちぐはぐ会話版
③劇的再会 ~田舎の兄弟版~(阪急梅田ビッグマン前)
待ち合わせ場所のメッカ、ビッグマン前に、「お兄ちゃん」が待っている。左手向こうから、数年ぶりに再会する弟「キヨシ」がきょろきょろしながらちかづいてくる。「お兄ちゃん」は、大声で「きよしーおーい、きよしー」とわめきながら人混みを突き抜けて走り寄る。同時にキヨシも「おにいちゃーん」とわめきながら走り寄る。
二人はすさまじく抱き合いながら再会を喜び、ふたりで腕を組んで軽く踊る。そしてお兄ちゃんが「よっしゃーこい」といって胸に両手を広げると、キヨシはボクシングの練習を軽くやる。そのまま二人で「王将行くぞっ」などといいながら走り去る。
その他 バージョンあり
④文化演説 ~杉花粉反対闘争~(梅田歩道橋高架)
お揃いの服を着た一味が拡声器でデモ集会をやる。
「現在、杉の木は、我々の鼻孔を刺激せしめ、我々の生活を脅かしている。この暴挙を我々全国杉花粉反対同盟は決して許しはしない。我々は断固として、杉の木に対して抗議をする。杉の木は花粉を飛ばすな(皆で「そうだぁ」)。杉の木はすぐに花粉を撤収しろ(皆で「そうだぁ」)。」その後、花粉飛ばすな・花粉反対・花粉撤収でシュプレヒコールを繰り返す。
その他 「パンダ反対闘争」「台風上陸阻止闘争」
⑤その他、「京阪モール缶ポックリ軍隊式行軍」「エレベーター内逆立ち女性」「車内でウォークマンにのって歌い出す女性」「意味ナシ示威行為」
(C)出版系
詩集はっぴーぬりえ(第二号まで/畑中)
学散卒業記念文集 (計2回/関)
おすすめ亭 (第3号まで/N)
(D)見学系
見学系は、目的はフィールドワークや参加観察なのですが、要は、日常生活であまり体験できないような場所へ実際に行ってみる、という活動です。
★大人の社会見学(続行中/関・矢野・雪本=各地)
通常は行かないようなところへ複数名で訪問し、それで各自が知見を得ればよいというユニットです。
-内容-
第一回 原子力発電所
第二回 光と闇の新世界
第三回 震災から三年、神戸市長田区を訪ねる
第四回 徹夜で徘徊「大阪南」
第五回 岸和田のだんじりを体験する(中止)
第五回 大阪鶴橋を行く
その他
歴史探訪(続行中/古川=各地)
(E)イベント
学散懸賞論文 (計2回/松村)
BOX落成パーティー(関=京都)
春期・冬季合宿 (矢野=和歌山)
忘年会 (矢野=大阪・京都)
TRPG(計2回/雪本=京都)
(F)その他、企画倒れのもの
人が集まらなかったため、あるいは反対意見が多かったため、結局成立しなかったユニットやイベントもあります。以下はそのようなかわいそうな企画案です。しかしこれらは、埋もれてしまうのではなく、いつの日にか陽の目をみる日を待っている企画案なのです(多分)。
学散袋詰め(発案:関)
アカージ(発案:関)
論戦大王(発案:関)
ブロンズコミュニケーション(発案:関)
ハイデッガーを読む会(発案:雪本)
法セミ輪読会(発案:関)
京大友人救出作戦(発案:長野)
学散茶話会(発案:関)
学散オリンピック(発案:横山)
トランスメディア(発案:関・内尾)
学散ソフトボール大会(発案:古川)
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